山葡萄籠工房 ― 時を編む、未来を結う。
私たち山葡萄籠工房は、自然と共に生きる新たな循環型ライフスタイルに寄り添う、アップサイクル・ファッションブランドです。
古来より日本人が自然の中で育み、暮らしの中で磨いてきた「山葡萄の蔓かご」。
その伝統を今に蘇らせ、みずみずしく心を満たす体験と、静かな豊かさを宿した空間をお届けします。
受け継がれてきた和装文化の技術を深く敬い、語り継ぎながら、エシカルな温故知新の精神を現場に落とし込み、
作り手・使い手・自然──すべてが幸せに循環する、サステナブルな未来を紡いでいきます。
私たちの価値
伝統の「編み」の技を受け継ぎ、さらに磨きをかけながら、現地職人とともに最高品質を追求。
山葡萄蔓を軸に、柿渋、和紙布、擬革紙など、日本の天然素材を掛け合わせ、唯一無二の魅力をもつ作品を生み出します。
山に呼ばれ、皆様の声に応えるように──
“山彦〜Yama-Biko〜”のように、お客様の声に寄り添うブランドとして、国内外へ新しい和の美しさを届けてまいります。
私たちの革新
消えゆく技術に新たな息吹を。
日常の中でも、フォーマルなシーンでも、自然に溶け込む洗練を極めた山葡萄かごのアイテムを提案します。
製品・職人・素材・環境、そのすべてが有機的に循環するブランドとして、
日本の手仕事がもつ本質的な心地よさと、未来へとつながる静かな革新を発信し続けます。
山葡萄の蔓の外皮と内皮を丁寧に削り、均一な厚みに仕上げた特別な素材。
手間をかけることで生まれる、しっとりと艶やかな飴色が特徴です。
繊細さの中に芯のある美しさ──それが、削皮の魅力です。
山岳の沢沿い、湿度と光が織りなす特別な環境で育った山葡萄の蔓。
厳しい斜面で力強く育ったその蔓から、鬼皮を丁寧に剥ぎ取ることで現れるのが「沢皮」です。
淡く白みを帯びた光沢と、深みのある琥珀色の輝き。
自然が磨き上げたようなその美しさは、一つとして同じ表情を持ちません。
奥深い山麓の沢沿いに自生する、希少な山葡萄の蔓から生まれた皮。
削ぎ出された表面は、白く上品な輝きを放ち、使い込むほどに艶を増し、やがて深い飴色へと変化します。
自然が育て、人の手が磨き上げる、経年美が魅力の国産皮。
一つひとつに、森の記憶が宿ります。
山麓に静かに息づく胡桃の木から、選び抜いた皮を丁寧に剥ぎ、一本一本をハサミで繊細にヒゴ状へと整えます。
仕上がりは、深みのある黒。使うほどに艶をまとい、やがて“濡れ鳥色”と呼ばれる、漆黒のような美しさへと変化していきます。
手仕事と時の流れが織りなす、静かで力強い存在感。胡桃皮は、上質を知る人のための素材です。
蔓の採取
この蔓が育つのは、山の奥深く──人の気配を拒むような、静寂に包まれた秘境。
そこにひっそりと絡みつく山葡萄の蔓は、細いもので小指ほど、時に太ももほどの太さにまで育ちます。
私たちは、その一本一本と対話するように、形・太さ・状態を見極めながら、慎重に選び取り、森のリズムを乱さぬよう心を込めて採取しています。
蔓の乾燥
採取した蔓は、すぐに使うことはありません。
風通しの良い日陰で、じっくりと時間をかけて乾燥させていきます。
中には、2年、3年と静かに寝かせるものも。
その歳月が、蔓に芯の強さとしなやかさをもたらし、美しい編み上がりへとつながっていきます。
自然のリズムに寄り添いながら、素材の力を最大限に引き出す――それが、山葡萄籠工房の流儀です。
蔓の鞣しおよびひご作り
選び抜かれた蔓は、それぞれの太さに合わせて、ハサミで一本一本、丁寧に裁断されていきます。
この工程で最も重要なのは、蔓の繊維の流れを正確に読み取り、自然の筋に沿って刃を入れること。
わずかな乱れも、仕上がりに大きな違いを生むからです。
その後、それぞれの蔓は手の温もりで鞣され、しなやかさと艶を引き出されながら、かごへと命を吹き込まれていきます。
籠編み
ヒゴへと姿を変えた山葡萄の蔓は、それぞれの木型に寄り添うように、一本一本丁寧に編み込まれていきます。
手の感覚と蔓の声に耳を澄ませながら、かたちを成していくその工程は、まるで静かな対話のよう。
こうして唯一無二の表情をもつ、さまざまな山葡萄籠が生まれていきます。
仕上げ
生まれたての山葡萄籠に、最後のひと手間を。
細やかなブラッシングで蔓の表情を整え、余分な毛羽はハサミで一つひとつ丁寧にカット。
仕上げの工程もまた、籠に宿る美しさを引き出す大切な時間です。
完成
いくつもの繊細な工程を、ひとつひとつ丁寧に、注意深く。
自然と向き合い、蔓と語らいながら、私たちの山葡萄籠は静かにその姿を現します。
手仕事の積み重ねが、かたちとなり、美しさへと昇華していくのです。
山葡萄籠とのお付き合いにおいて、何より大切なのは「愛情」です。
日々の丁寧なお手入れと、適切な保管によって、その風合いはより深まり、年月とともに美しさを増していきます。
私たち山葡萄籠工房は、自然素材がもつ本来の魅力を最大限に引き出すことを大切にしています。
そのため、素材の個性を尊重した上で、長くご愛用いただくためのいくつかの大切なポイントを、ぜひご一読ください。
山葡萄籠は、湿気や水分を好みません。
もし水に濡れてしまった場合は、すぐに柔らかい布で優しく水気を拭き取り、形を整えてから、風通しの良い日陰でゆっくりと乾かしてください。
自然素材だからこそ、ひと手間が美しさを育てます。
急な乾燥や高温は、山葡萄の繊細な美しさを損なう原因に。
ドライヤーやストーブの熱風、真夏の車内など、極端な乾燥や高温環境での保管は避けてください。
天然素材の籠には、やさしく寄り添うケアが何よりの贈りものです。
カビは、気づいたときにはすでに深く蔓の内部に根を張り、美しい籠に取り返しのつかない傷を残します。
汚れ、高温、多湿——そのすべてが揃うと、カビの温床に。
山葡萄籠を長く美しく保つためには、風通しの良い涼やかな場所で、やさしく眠らせてあげてください。