×

CATEGORY

HOME»  サステナビリティ

山葡萄籠工房とサステナビリティ

〜自然とともに、未来を編む〜

山葡萄籠工房とサステナビリティ

山の奥深く、霧に包まれた森に分け入り、一本一本の山葡萄の蔓と静かに向き合う。山葡萄籠工房のものづくりは、自然との対話から始まります。

私たちは、自然の恵みを「いただく」姿勢を何より大切にし、必要な分だけを丁寧に採取します。山葡萄の蔓は放っておけば太く力強く伸び続け、やがてその勢いで木々を締めつけ、時に森を薙ぎ倒してしまうこともある。そのため、森の健やかな循環のためにも、人の手で間引き、整えることは欠かせません。

とはいえ、採取には厳しい基準を設け、決めた太さ・長さに満たない蔓には一切手をつけません。まだ若い命には触れず、未来の森を育むためにそっとそのままにしておく。これも、私たちが自然と交わした約束のひとつです。

蔓は切って終わりではありません。約八年から十年の時を経て再び蘇り、森へと還る。その営みを尊重しながら、私たちは持続可能なサイクルの中で素材と向き合っています。

蔓を伝い、20メートルを超える高木を登り、また静かに降りる――その一つひとつの動作は、自然との呼吸を合わせる所作。私たちは「蔓にすべてを委ねる」ことで、自然の力を信じ、謙虚に生きる道を選んでいます。

森には八百万(ヤオロズ)の神が宿る。だからこそ、収穫の終わりには深く一礼し、今日という一日に心からの感謝を込めます。

山葡萄籠工房の籠は、単なる道具ではありません。自然と人の手のあいだで紡がれた、時と心の結晶です。未来へ続く持続可能なものづくりを、これからも静かに、そして確かに重ねていきます。